キャッシュレス・ポイント還元事業で還元されたポイントはどのように経理処理すべき?
一般
令和1年10月1日からキャッシュレス・ポイント還元事業が開始されました。
これによりキャッシュレス決済により買い物をするとポイント還元が受けられます。
個人の買い物であれば特に気にすることはないのですが、会社や個人事業者が事業用の消耗品などを買い物をした場合、経理処理をどうするべきかという問題が発生します。
1回の買い物(1つの領収書)で10%のみの買い物をした場合を考えてみます。(8%のみの買い物でも考え方は同じです。)
例として、小規模事業者のお店で1,000円(税抜)の業務用の消耗品をスマホのバーコート決済で購入したケースを想定します。
消耗品ですので税率は10%で消費税は100円となり、税込金額は1,100円となります。
キャシュレス決済によるポイント還元は税込金額1,100円に対して5%(小規模事業者還元率)ですので、55円がポイント還元されることになります。このポイントは即時控除されますので、1,100円ー55円=1,045円が支払い金額になります。
実務的にはこのポイント還元額55円をどのように処理するかがポイントとなります。
<方法1>
このポイント還元額は国からの買い物の補助金としての性格があるものですから、雑収入(消費税課税対象外)としの処理が原則になるものと考えられます。
仕訳で表現すると

※貸方を現金としていますが、状況としては、社長が自分のスマホで消耗品を買ってきて、経理に領収書を渡し、経理から1,045円を現金でもらったという状況を想定しています。(以下同様)
極端ではありますが、年間取引がこの取引だけだったとすると
消費税=消費税課税売上0円ー消費税課税仕入100円=△100円
となり、消費税100円の還付となります。
損益計算書は
損益=収益55円ー費用1,000円=△945円
となります。
<方法2>
ただし、実務の現場ではいちいち雑収入を計上するのは面倒だという声が聞こえてきそうです。
そこでポイント還元額55円分は値引きだと考え直接控除してはどうかという考え方になります。
ただし、55円は国からの補助金ですから、本体の税抜価格から直接控除する必要があります。
仕訳で表現すると、

同じく、年間取引がこの取引だけだったとすると
消費税=消費税課税売上0円ー消費税課税仕入100円=△100円
となり、消費税100円の還付となります。
ちなみに損益計算書は
損益=収益0円ー費用945円=△945円
となります。
<方法3>
それでも、実務の現場ではいちいち仮払消費税をを計上するのは面倒だという声が聞こえてきそうです。(特に手書きで伝票を起票している場合)
そこでポイント還元額55円分は値引きだと考え直接控除してはどうかという考え方になります。
さらに、55円は補助金ではなく値引きとみなし、本体の税込価格から直接控除してしまいます。
仕訳で表現すると、

同じく、年間取引がこの取引だけだったとすると
消費税=消費税課税売上0円ー消費税課税仕入95円=△95円
となり、消費税95円の還付となります。
ちなみに損益計算書は
損益=収益0円ー費用945円=△950円
となります。
まとめると

となります。
方法1は総額表示、方法2は純額表示となりますが、消費税納税額、損益(≒課税標準額)は同じになります。
一方、方法3は方法1及び方法2に比べ消費税納税額が5円増え、損益(≒課税標準額)が5円減ります。
法人税等は課税標準額に法定実効税率を乗じたものであることから、消費税納税額と法人税等納税額の合計額で見たときその納税合計額は方法1及び方法2<方法3となります。
方法3は経理処理としては簡便であるものの、納税で不利なります。ただし、処理としてはポイント還元額を課税取引として扱ってしまっている点で不適正であると言わざるを得ません。とはいえ中小企業などでは納税額が不利であることや重要性の原則を考慮し、絶対にダメな処理とも言えないでしょう。
今回のキャッシュレス・消費者ポイント還元事業の実施に伴い、残念なことはたくさんありますが、特に事業者の経理処理の指針等が示されていない点が実に残念です。キャッシュレス決済に係る経理処理という課題は全国の中小事業者と会計事務所に丸投げされたといっても過言ではありません。
キャッシュレス決済の利用頻度や損益全体における金額的な影響を考え、合理的な経理処理の選択が認められるといいですね。
とここまで書いてみましたが、キャッシュレス決済に関する経理処理についてはまだまだ疑問点が尽きることはありません。。。

これによりキャッシュレス決済により買い物をするとポイント還元が受けられます。
個人の買い物であれば特に気にすることはないのですが、会社や個人事業者が事業用の消耗品などを買い物をした場合、経理処理をどうするべきかという問題が発生します。
1回の買い物(1つの領収書)で10%のみの買い物をした場合を考えてみます。(8%のみの買い物でも考え方は同じです。)
例として、小規模事業者のお店で1,000円(税抜)の業務用の消耗品をスマホのバーコート決済で購入したケースを想定します。
消耗品ですので税率は10%で消費税は100円となり、税込金額は1,100円となります。
キャシュレス決済によるポイント還元は税込金額1,100円に対して5%(小規模事業者還元率)ですので、55円がポイント還元されることになります。このポイントは即時控除されますので、1,100円ー55円=1,045円が支払い金額になります。
実務的にはこのポイント還元額55円をどのように処理するかがポイントとなります。
<方法1>
このポイント還元額は国からの買い物の補助金としての性格があるものですから、雑収入(消費税課税対象外)としの処理が原則になるものと考えられます。
仕訳で表現すると

※貸方を現金としていますが、状況としては、社長が自分のスマホで消耗品を買ってきて、経理に領収書を渡し、経理から1,045円を現金でもらったという状況を想定しています。(以下同様)
極端ではありますが、年間取引がこの取引だけだったとすると
消費税=消費税課税売上0円ー消費税課税仕入100円=△100円
となり、消費税100円の還付となります。
損益計算書は
損益=収益55円ー費用1,000円=△945円
となります。
<方法2>
ただし、実務の現場ではいちいち雑収入を計上するのは面倒だという声が聞こえてきそうです。
そこでポイント還元額55円分は値引きだと考え直接控除してはどうかという考え方になります。
ただし、55円は国からの補助金ですから、本体の税抜価格から直接控除する必要があります。
仕訳で表現すると、

同じく、年間取引がこの取引だけだったとすると
消費税=消費税課税売上0円ー消費税課税仕入100円=△100円
となり、消費税100円の還付となります。
ちなみに損益計算書は
損益=収益0円ー費用945円=△945円
となります。
<方法3>
それでも、実務の現場ではいちいち仮払消費税をを計上するのは面倒だという声が聞こえてきそうです。(特に手書きで伝票を起票している場合)
そこでポイント還元額55円分は値引きだと考え直接控除してはどうかという考え方になります。
さらに、55円は補助金ではなく値引きとみなし、本体の税込価格から直接控除してしまいます。
仕訳で表現すると、

同じく、年間取引がこの取引だけだったとすると
消費税=消費税課税売上0円ー消費税課税仕入95円=△95円
となり、消費税95円の還付となります。
ちなみに損益計算書は
損益=収益0円ー費用945円=△950円
となります。
まとめると

となります。
方法1は総額表示、方法2は純額表示となりますが、消費税納税額、損益(≒課税標準額)は同じになります。
一方、方法3は方法1及び方法2に比べ消費税納税額が5円増え、損益(≒課税標準額)が5円減ります。
法人税等は課税標準額に法定実効税率を乗じたものであることから、消費税納税額と法人税等納税額の合計額で見たときその納税合計額は方法1及び方法2<方法3となります。
方法3は経理処理としては簡便であるものの、納税で不利なります。ただし、処理としてはポイント還元額を課税取引として扱ってしまっている点で不適正であると言わざるを得ません。とはいえ中小企業などでは納税額が不利であることや重要性の原則を考慮し、絶対にダメな処理とも言えないでしょう。
今回のキャッシュレス・消費者ポイント還元事業の実施に伴い、残念なことはたくさんありますが、特に事業者の経理処理の指針等が示されていない点が実に残念です。キャッシュレス決済に係る経理処理という課題は全国の中小事業者と会計事務所に丸投げされたといっても過言ではありません。
キャッシュレス決済の利用頻度や損益全体における金額的な影響を考え、合理的な経理処理の選択が認められるといいですね。
とここまで書いてみましたが、キャッシュレス決済に関する経理処理についてはまだまだ疑問点が尽きることはありません。。。

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