インボイス制度ではインボイスの発行義務が免除されるケースがあるって本当ですか?
消費税
本当です。
適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の41)。
ただし、以下の5つの取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令70の92)。
まつののまとめ
本日は交付義務の免除、つまり、売り手のインボイスの交付義務免除の紹介をしました。一方、買い手にも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められるケースや少額特例などもあります。頭が混乱してしまいますが、売り手の特例と、買い手の特例としっかりと場合分けすることで理解が進むでしょう。
実務的にはインボイスについては金額的な大小に関わらずひとまず保存することお勧めします。
適格請求書発行事業者には、国内において課税資産の譲渡等を行った場合に、相手方(課税事業者に限ります。)からの求めに応じて適格請求書の交付義務が課されています(新消法57の41)。
ただし、以下の5つの取引は、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難なため、適格請求書の交付義務が免除されます(新消令70の92)。
① | 3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送(「公共交通機関特例」) | 公共交通機関特例の対象となるのは、3万円未満の公共交通機関による旅客の運送で、次のもの 1 船舶による旅客の運送 一般旅客定期航路事業、人の運送をする貨物定期航路事業、人の運送をする不定期航路事業(乗合旅客の運送をするものに限ります。) として行う旅客の運送(対外航路のものを除きます。) 2 バスによる旅客の運送 一般乗合旅客自動車運送事業として行う旅客の運送 (注) 路線不定期運行(空港アクセスバス等)及び区域運行(旅客の予約等による乗合運行)も対象となります。 3 鉄道・軌道による旅客の運送 ・ 鉄道:第一種鉄道事業、第二種鉄道事業として行う旅客の運送 ・ 軌道(モノレール等):軌道法第3条に規定する運輸事業として行う旅客の運送 3万円未満の公共交通機関による旅客の運送かどうかは、1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定します。したがって、1商品(切符1枚)ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定することにはなりません。 【具体例】 東京‐新大阪間の新幹線の大人運賃が13,000円であり、4人分の運送役務の提供を行う場合には、4人分の52,000円で判定することとなります。 まつののまとめ →この特例を利用する場合、帳簿には「3万円未満の鉄道料金」であることを記載する必要があります。(U3(under3万円)などの統一的な簡便表記でも問題ないと考えます。) また、飛行機・タクシーを利用した場合は金額に関わらずインボイスが必要になります。 |
② | 出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。) →買付取引の場合は本特例は適用できません。 | 本特例の対象となる卸売市場とは、 1 農林水産大臣の認定を受けた中央卸売市場 2 都道府県知事の認定を受けた地方卸売市場 3 1及び2に準ずる卸売市場として農林水産大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たす卸売市場のうち農林水産大臣の確認を受けた卸売市場 なお、この場合において、生鮮食料品等を購入した事業者は、卸売の業務を行う事業者など媒介又は取次ぎに係る業務を行う者が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。 |
③ | 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。) | 無条件委託方式及び共同計算方式とは、それぞれ、次のものをいいます。 1 無条件委託方式 出荷した農林水産物について、売値、出荷時期、出荷先等の条件を付けずに、その販売を委託すること 2 共同計算方式 一定の期間における農林水産物の譲渡に係る対価の額をその農林水産物の種類、品質、等級その他の区分ごとに平均した価格をもって算出した金額を基礎として精算すること また、この場合において、農林水産物を購入した事業者は、農協等が作成する一定の書類を保存することが仕入税額控除の要件となります。 |
④ | 3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等(「自動販売機特例」) | 自動販売機特例では自動販売機による飲食料品の販売のほか、コインロッカーやコインランドリー等によるサービス、金融機関のATMによる手数料を対価とする入出金サービスや振込サービスのように機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結するものが該当することとなります。 なお、小売店内に設置されたセルフレジを通じた販売のように機械装置により単に精算が行われているだけのもの、コインパーキングや自動券売機のように代金の受領と券類の発行はその機械装置で行われるものの資産の譲渡等は別途行われるようなもの及びネットバンキングのように機械装置で資産の譲渡等が行われないものは、自動販売機や自動サービス機による商品の販売等に含まれません。 まつののまとめ 帳簿には「〇〇市 自販機」、「××銀行□□支店ATM」等およその所在地が特定できる情報を記載する必要があります。 |
⑤ | 郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。) | 切手類はポストに投函することを前提に仕入税額控除が認められます。切手の利用状況と期末在庫数量については管理されていれば仕入税額控除は認められるものと考えられます。インボイス制度開始後は切手は買い置きせず、なるべく窓口で郵送料を支払うことをおすすめします。 |
まつののまとめ
本日は交付義務の免除、つまり、売り手のインボイスの交付義務免除の紹介をしました。一方、買い手にも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められるケースや少額特例などもあります。頭が混乱してしまいますが、売り手の特例と、買い手の特例としっかりと場合分けすることで理解が進むでしょう。
実務的にはインボイスについては金額的な大小に関わらずひとまず保存することお勧めします。
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