本当です。公正取引委員会は、インボイス制度の実施に際して免税事業者とその取引先との間で独占禁止法・下請法上問題となり得る行為について、令和4年1月、関係省庁と共 同で作成した「
免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関する Q&A」 (以下「インボイス Q&A」という。)において独占禁止法・下請法上の考え方を明らかにしています。インボイス Q&A では、発注事業者(課税事業者)が、免税事業者に対し、「課税事業者にならなければ、取引価格を引き下げるとか、それにも応じなけれ ば取引を打ち切ることにするなどと一方的に通告することは、独占禁止法上又は下請法上、問題となるおそれがあります」(Q7 の 6)との考え方を示しています。
まつののまとめインボイス制度に関して日増しにお客さまより多く質問をいただいております。売先からインボイス登録を行なったか確認の手紙が届き、行なっていない場合はその理由を書くようになっており「無言の圧力」を感じたという事例も聞いております。
買手である課税事業者が売手である免税事業者へインボイス登録事業者となるよう強いることはできません。また、インボイス登録事業者にならないことを理由に買手有利となるよう一方的に条件変更することもできません。買手が課税事業者である売手と免税事業者である売手との間でそれぞれ異なる取引価格で取引する場合には、それぞれの取引価格が合理的に決められている必要があります。
インボイス制度開始後3年間は免税事業者からの仕入についても8割の仕入れ税額控除が経過措置として認められます。最初の経過措置期間3年に限って考えると、税込110円の商品の取引を行う場合、課税事業者との取引では10円の仕入税額控除が受けられるのに対し、免税事業者との取引では8円(10円×80%)の仕入税額控除が受けられます。この結果、免税事業者との取引では「2円値引いてください」という話が出てくるかもしれません。つまり、課税事業者が免税事業者から仕入れる場合には、税抜価格の2%(2円/100円)、または税込価格の1.8%(2円/110円)程度の値引きを交渉するということは合理性があると言えるかもしれません。ただし、本体価格のことまで考えると、買手が黒字会社なのか赤字会社なのか、適用税率が何%なのかなど影響度合いに関する議論がさらに深みへ入っていきます。
とはいえこのような価格の議論をすべき状況は、課税事業者が免税事業者と継続的に取引をする場合に限られます。小売事業者や免税事業者との取引が少ない事業者はは免税事業者との取引価格について深く考える必要はありません。