令和6年1月1日より相続時精算課税が改正されるって本当ですか?

相続税・贈与税
07 /31 2023
本当です。

令和5年度税制改正により、相続税精算課税制度の一部が改正されました。

相続時精算課税を選択(※1)した受贈者が、特定贈与者(※2)から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産に係るその年分の贈与 税については、暦年課税の基礎控除とは別に、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円 (※3)が控除されます。
また、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されるその特定贈与者から令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産の価額は、基礎控除額を控除した後の残額とされます。

※1 相続時精算課税は、原則として、①贈与者が贈与の年の1月1日において60歳以上であり、②受贈者が同日において18歳以上で、かつ、贈与時において贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫である場合に選択することができます。 なお、相続時精算課税を選択した場合、その後、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ変更することはできません
※2 特定贈与者とは、相続時精算課税の選択に係る贈与者をいい、令和5年分以前の贈与税の申告において相続時精算課税を選択した場合も含みます。
※3 同一年中に、2人以上の特定贈与者からの贈与により財産を取得した場合の基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格であん分します。

相続時精算課税20240101

相続時精算課税を選択し、令和6年以降に追加的な生前贈与を行なった場合の贈与税額
生前贈与額
税額計算
納税額
税負担率
100万円 100万円-110万円<0 0万円(申告不要) 0%
150万円 150万円-110万円=40万円×20% 8万円 5.3%
200万円 200万円-110万円=90万円×20% 18万円 9.0%
250万円 250万円-110万円=140万円×20% 28万円 11.2%
300万円 300万円-110万円=190万円×20% 38万円 12.6%
350万円 350万円-110万円=240万円×20% 48万円 13.7%
400万円 400万円-110万円=290万円×20% 58万円 14.5%
450万円 450万円-110万円=190万円×20% 68万円 15.1%
500万円 500万円-110万円=390万円×20% 78万円 15.6%
上記納税額は、相続が発生した際の相続税の前納分と考えることができます。相続財産の評価金額が基礎控除金額以下であれば、相続税の申告をすることにより、納税額は全額還付となります。


まつののまとめ
当該改正に関するポイントを列挙します。
・令和5年以前に相続時精算課税を行なっており、追加的な生前贈与をストップしていた方についても、令和6年以降非課税枠を利用し生前贈与を追加的・継続的に行うことで相続財産を減らすことができます。
・平均余命が短いと判断される場合には、敢えて相続時精算課税を選択することで相続時精算課税の非課税枠利用分を生前贈与の加算対象から外すことができます。(平均余命が短いと判断される場合、暦年贈与の加算対象期間が7年となることから、暦年贈与による生前贈与が無効となる可能性があります。)
・父・母からの贈与に対しそれぞれ相続時精算課税を利用した場合、相続時精算課税にかかる基礎控除は受贈者1人につき110万円となります。(220万円となりません。)

令和5年以降、相続時精算課税の利用が増えそうですね。相続時精算課税の利用については、単に納税額の多寡だけではなく、相続関係者の健康状態や人間関係も含め総体的かつ高度な判断が必要になります。

令和3年の相続税の申告事績の概要が公表されているって本当ですか?

相続税・贈与税
05 /29 2023
本当です。

令和3年分における被相続人数(死亡者数)は1,439,856人でした。
そのうち相続税の申告書の提出に係る被相続人数は134,275人となり、課税割合は9.3%となりました。(被相続人100人のうち9.3人が相続税の申告をしたことになりました。)
課税割合は、年々増加しており、10%(10人に1人が相続税を申告する時代)も目前となってきました。

相続税令和3年申告状況

また、相続財産の構成割合も公表されております。土地の構成割合が減少し、現預金の構成割合が増加しております。東京都などの都市部では不動産価格が高騰していることを考えると、なんとなく違和感がありますが、それ以上に相続税の対象者が全国津々浦々に広がり、現預金による貯蓄性向の高い方の相続税申告件数が増加していることが考えられます。
相続税令和3年財産構成

まつののまとめ
相続税の申告の有無は相続財産の総額及び相続人数によって異なってきます。相続税の申告のラインギリギリの場合であれば、生前に対策をすることで相続税の申告を免れるというケースも多くあるかと思います。現預金一択で資産を保有せず、不動産・生命保険等に分散させ資産を保有することで、財産の評価額を下げ相続税額を節減できる可能性があります。

相続時精算課税が令和6年から改正されるって本当ですか?

相続税・贈与税
02 /20 2023
ほぼ本当です。

令和5年度税制改正案における贈与税の改正が注目されています。
贈与税には大きく暦年課税と相続時精算課税という2つの贈与の方法が設けられています。
このうち相続時精算課税については、現行制度の下では、一度相続時精算課税を選択すると、暦年課税に戻ることはできず、選択後の贈与については金額の多寡に関わらず、贈与があった年毎に追加的な申告が必要でした。
ところが、令和6年からは相続時精算課税を利用した場合、その後毎年110万円の贈与までは課税されないこととなりました。110万円の追加的な贈与の非課税枠は、あくまでも令和6年以降の相続時精算課税に限られるものと思料されます(松野会計私見)ので、令和5年中に相続時精算課税を検討されている方は、令和6年まで待ってから相続時精算課税を利用することをおすすめします。

相続時精算課税2024改正

まつののまとめ
相続時精算課税はこれまで、その後の贈与についてその都度申告が必要という点で大変利用しにくい制度でした。
今回の改正により、相続時精算課税の利便性が上がり、相続時精算課税の利用が促進されることが想定されます。
松野会計事務所では相続時精算課税の対象財産として、収益性の高い資産を生前贈与することをおすすめしております。収益性の高い資産を生前贈与することにより、ストック及びキャッシュフローの両方を受贈者へ生前贈与することができます。
松野会計事務所は相続診断士の見地から、有効な生前贈与対策をご提案させていただきます。生前贈与についてお気軽にお問い合わせください。

所有者不明土地の 解消に向けて、 不動産に関するルールが 大きく変わるって本当ですか?

相続税・贈与税
07 /19 2022
本当です。

相続登記がされないこと等により、以下のいずれかの状態となっている土地を「所有者不明土地」といいます。
1 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
2 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地

所有者不明土地については、土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害要因となったり、土地が管理されず 放置され、隣接する土地への悪影響が発生したりするなど、様々な問題が生じています。

そこで今般以下↓↓↓↓↓↓のような不動産に関するルールが段階的に変わっていきます。

所有者不明土地解消施策

まつののまとめ
不動産登記制度の見直しの一環として、「所有不動産記録証明制度」が令和8年4月までに施行されます。
所有不動産記録証明制度とは、特定の者が登記簿上の所有者として記録されている不動産を一覧的にリスト化し、証明する制度です。この制度を利用することで、被相続人(亡くなった方)が所有者として記録されている不動産を網羅的に確認することができるようになります。相続の際に、相続人が全く知らない土地を被相続にが所有していたという場合でも、この制度を利用することで、不動産の所有を確認し、遺産分割を行ったうえで、登記変更の手続きを行うことができるようになります。
バブル期に被相続人が投機目的で縁もゆかりもない遠方の土地を購入しており、相続人はまったく知らなかったということが実務ではたまに発生します。この制度が制度化されることにより、税理士は不動産記録証明書を取得することにより、網羅的に不動産を把握することができることになるでしょう。相続人におかれましても、漏れなく、遺産分割協議及び登記変更ができるようになります。

令和2年の相続税の申告実績の概要が公表されたって本当ですか?

相続税・贈与税
12 /24 2021
本当です。

国税庁HPにおいて令和2年分 相続税の申告事績の概要が公表されていましたので紹介します。

令和2年相続税データ

課税割合とは死亡した人のうち、相続税の申告を行なった人の割合になります。
平成26年までは4%台だった課税割合が、平成27年の基礎控除の改正により、8%台になりました。
すなわち、死亡者100人のうち、およそ8人が相続税の申告をする時代になりました。
また、被相続人(死亡した人)1人あたりの相続財産はおよそ1.3億円となり、相続税額は17百万円(およそ13%の税負担率)となっています。実務の現場では「1億円以下の相続税の案件が増えているなぁ」という感じがします。
つまり、相続税がより身近な税となってきました。今後相続税・贈与税の改正も検討されていることから、相続税の申告の有無に関わらず、相続対策の必要性が益々高まっていくことでしょう。

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